モルフェウスの誘惑 ※SS追加しました。
結局、岡崎は手紙を
念のためと持ち帰った
残ったドーナツも一緒に…




「あいつ、大丈夫なのかなぁ?
あんなんで、よく刑事とかやってるよな
あの男って僕たちとそんな変わんないだろ?
なぁ、杜」

岡崎と神村が一緒に出ていき
入れ替わりに杜が事務所へとやって来た
寝起きなのか、いつもより
和らいでいる表情を見ると
美雨はやはり胸がキュッと
締まるような感じがした

「あの若僧だろ?
確かに俺たちより少し若いんじゃないかな
だけど、あいつ見くびっちゃダメだよ
結構、するどいよ
あの飄々とした雰囲気も
わざと作ってんじゃないかな
サンキュ」

美雨が差し出した珈琲を
受けとる杜
美雨と視線が合ったときに
僅かに揺れる杜の瞳に
美雨はまたしても 心臓が
跳ねる

ーーートクンッと…

美雨は、その事を悟られないよう
杜の側をすぐ離れた

「っで?
どうすんの?
何か対策は?」

杜は珈琲に口をつけると
美雨に聞いた

「えっと…
それが特に…」

「ったく…美登、何か考えあんのかよ」

杜が声を掛けても反応しない美登

「おいっ、美登!」

「えっ、ああ、悪い悪い
っで、なんの話しだっけ?」

「だからさ、対策は?って
美登、どこか具合でも悪いのか?
ぼーっとするなんてお前らしくない」

「いや、ああ、
少し夕べ遅くまで起きてたからな
サンキュ、杜に心配してもらえるなんて
感激だよ」

オーバーに手を広げて言う姿は
すっかりいつもの美登だった

この時、美登が何を考えていたのかを
二人が知るのは
もう少し先の事だった










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