モルフェウスの誘惑 ※SS追加しました。

俺はその連絡を呆然と立ち尽くして聞いた
美雨と別れて暫くしたのち、
美登から連絡を受けた

『杜、美雨ちゃんが襲われた』

俺は、言葉が出なかった
そして、初めて美雨を失うことの
恐ろしさに気づき、携帯を持つ手が少し震えた

『……美雨は？』

やっと、でた言葉だった

『ああ、大丈夫だ。大事には至らなかった。
今、病院で手当てしてる
今夜は何処か、部屋を取ってやろうと思ってる
とても、自宅に戻る気はしないだろう
まぁ、俺がついてるから、心配するな』

『ああ、わかった』

会話は切れた
電話を切った後で、何故
美登がそこに居合わせたのか
疑問に思ったが、それより
美雨の回復を待つより他はないと思った

『美雨…』

何故、こんな事になっているのだろうか？
俺は咄嗟にあの男が浮かんだ

真山だ

真山に会ったのは、美雨がサインをした書類を持っていった時だけだった

あの時の真山の様子だと、決して自ら美雨との別れを望んでいるようには思えなかった

ただ、自分への懺悔の為だけに美雨との関係を精算しているようにしか、思えなかった

だから、あの時、
真山が美雨の様子を聞いてきたとき、無償に苛立った

美雨を抱いた後で情が移っていただけかもしれないが、無償に苛立ちを覚えた記憶が鮮明に残っている

きっと、あの時、既に俺は美雨に対して
特別な思いがわきつつあったのかもしれない

とにかく、心当たりは真山くらいしかなかった
前回の雑貨屋襲撃事件にしても、アリバイはあったと言ったが、人を使えば何とでも出来る

真山が全てを動かしていると考えれば、納得いく事だった




俺の中にある考えが浮かんだ