モルフェウスの誘惑 ※SS追加しました。
梓はその殆どを置いていった
真山は、まるで
自分も含めて『いらないもの』
と、言われているような気がした
梓は書類に判をつき
部屋の鍵と指輪をテーブルに置くと
トレンチコートの襟を立て
梓が一番輝いていた時によく履いていた
赤いピンヒールに品よく足を滑らせた
そして、ピンと背筋を伸ばすと
そこにはーーー
真山が惚れた
一生を共にしようと決めた
あの頃と同じ目をした梓がいた
その表情はとても凛としていて
確かに真山がかつて愛した
梓がそこにいた
「ありがとう…
元気になんなさい
って、私が言うのも可笑しいかしら?」
その言葉に真山は情けない
苦笑いをすると
「梓も
元気で」
それがやっとだった
真山なりの男としての
プライドが吐かせた
たった一言だった
梓が出ていった後、
役所に書類を提出した真山は
ふと、見るとすぐ側にたった今婚姻届けを
出したらしい カップルを見つけた
真山は誰に向かって言うでもなく
「御愁傷様」と、呟いた
そして、笑った、高々と笑った
役所の人間や周りのやつらが、真山を変な目で見ていた。それでも真山は笑い続けた
今日くらいは、目一杯情けない男でいてやろう
そう思うと、さらに笑いながら
真山はその場を去った
今日、
俺と梓
俺たちの婚姻関係が
完全に終わったんだ
今度は自分に向けて呟いた
そして、真山はその足で早速、美雨の元へと向かった。もう、梓にも誰にも気を使う必要はないのだ。これからは自分の気持ちに
素直に動けば良いのだ
そう、思っていた
何もかも、もう間に合わないという事実を
受け入れなけらばいけないとも知らずに…
真山は、まるで
自分も含めて『いらないもの』
と、言われているような気がした
梓は書類に判をつき
部屋の鍵と指輪をテーブルに置くと
トレンチコートの襟を立て
梓が一番輝いていた時によく履いていた
赤いピンヒールに品よく足を滑らせた
そして、ピンと背筋を伸ばすと
そこにはーーー
真山が惚れた
一生を共にしようと決めた
あの頃と同じ目をした梓がいた
その表情はとても凛としていて
確かに真山がかつて愛した
梓がそこにいた
「ありがとう…
元気になんなさい
って、私が言うのも可笑しいかしら?」
その言葉に真山は情けない
苦笑いをすると
「梓も
元気で」
それがやっとだった
真山なりの男としての
プライドが吐かせた
たった一言だった
梓が出ていった後、
役所に書類を提出した真山は
ふと、見るとすぐ側にたった今婚姻届けを
出したらしい カップルを見つけた
真山は誰に向かって言うでもなく
「御愁傷様」と、呟いた
そして、笑った、高々と笑った
役所の人間や周りのやつらが、真山を変な目で見ていた。それでも真山は笑い続けた
今日くらいは、目一杯情けない男でいてやろう
そう思うと、さらに笑いながら
真山はその場を去った
今日、
俺と梓
俺たちの婚姻関係が
完全に終わったんだ
今度は自分に向けて呟いた
そして、真山はその足で早速、美雨の元へと向かった。もう、梓にも誰にも気を使う必要はないのだ。これからは自分の気持ちに
素直に動けば良いのだ
そう、思っていた
何もかも、もう間に合わないという事実を
受け入れなけらばいけないとも知らずに…