思春期の恋
体育館に着くと、柊司はパイプ椅子を壁際に持ってきてくれた。
「こっから見てな」
そう言って、体育館から出て行ってしまった。
剣道は男女混合で練習するから、
女子達もいて。
でも、もう3年は引退しているから、2年と1年だけで、
とりあえず邪魔にならないように、もうちょっと隅っこまでパイプ椅子を引きずってきて座った。
あ、こんな時に、半面はバスケ部か。。。
ニヤニヤしながら練習している後輩達が見えた。
その時、柊司が剣道着姿で現れた。
体育館に入る時、一礼して、
防具と竹刀を持って、
スタスタと私の前を通り過ぎていった。
紺色の道着姿の柊司。
剣道するには、少し細い体だけど、
竹刀を持つ腕は、
体と比べると太いと思った。
体育館の隅に正座をして座ると、
柊司は少し俯いた。
俯いたせいで、少し長めの黒髪が、
顔にかかった。
手馴れた手つきで、胴をつけ始めた姿は、
とても男らしくて、
遠くから見ているだけで、
胸がきゅん・・・としてしまった。