ガラスダマ
起き上がろうとするとまた無理矢理寝かされた。
「帰りたくないなら泊まって行きなよ。どうせこの調子なら明日も休まなきゃでしょ。ゆっくりしてって」
「いい。帰る」
泊まっていったら珠の家族と会うことになる。
円満な家族など見たくない。
もう羨ましく思うような気持ちにはならないけれど、いい気分にはならない。
高橋は黙ってあたし達のやり取りを眺めていた。
結局言いあっている内に玄関のドアが開く音が聞こえ、ため息をついた。