ガラスダマ
周りなんて全く見ようとしないから、あたしにはちっとも気づいてない。
椅子に座って大きな体を丸く収める。
見るからに気が弱そうで不のオーラを身にまとっている。
あんなんじゃ誰も近づきたがらないのも仕方ない。
誰もが彼に注目している中、担任がやってきて始まったのは自己紹介。
自己紹介なんて全然興味なかったけど、彼の自己紹介には無意識に耳を集中させていた。
高橋千秋。
小さな声だけど、確かに聞こえた。