ガラスダマ


「…兄妹がいたんだね」


もしかしたらあたしと珠は運良く産まれてきただけで、この人はいくつもの命を無駄にしてきたのかもしれない。

そんなのはもう聞きたくはない。




「俺は…」


言いかけてやめる。

伸ばしていた手を引っ込め、お父さんは部屋に戻っていった。


あたしも自分の部屋に入りそのままベッドに倒れ込んだ。



あたしがもし今消えてしまったとして、一体誰が悲しむだろう。

珠?高橋?


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