Who am l?
「峰子、私…今、嫌な事思い出しちゃった。」
私は上を向く。
とりあえず、溢れてきそうな涙を瞼におさめるため。
『…ごめん。やっぱり、風はアタシと話したくないよね。久しぶりに風の声聞きたかっただけでさ。』
峰子が申し訳なさそうに呟いた。
声が震えている。
峰子は、中学を卒業して、専門学校に入った。
主に保育士を目指す人にとっての学校で、学費は入学金だけで80万にまでのぼった。
あの時、涙をこらえながら「アタシ、学校通えないかも~」なんて言っていた峰子の顔を、私はきっと、一生忘れる事が出来ないだろう。