Who am l?


「なんだよ、神崎!私今急いでんの!」


神崎は、掴んだ腕を離さない。


「離せよ!」


自分でも信じられない位の暴言めいた言葉が私の口から飛び出す。


「んな格好で...! 」

神崎が暴れる私の肩を掴み、叫んだ。


「え」

私はふと、自分の格好を見下ろした。


「ーーーあ」

フリルのついたピンク色のリボンはほどけているし、ワイシャツは半分以上開いて同じくフリルのついたブラがのぞいている。


「お前さあ、そんな格好で今、廊下に出てったらどうなるかわかってんのかよ。ただでさえ文化祭で人がハンパないのにさ。」


そう言いながら神崎は、私の胸元に手を忍ばせた。


肌に手が触れる。


「あっ、ちょっ....」


「お前さあ、自分が女だって自覚あんの?」


神崎の表情が、いつになく真剣で、そして甘い顔に変わる。


「神...ッ」


「そんでさ、一応俺も男なんだけど?」



体の底からこみ上げてくるような、なんとも言えない感情がこみ上げてくる。


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