ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
「仲良くなれるといいなぁ」
買ったパンの袋の中を覗きながら、そっと呟く梓。
「旨いスープを作らなきゃな」
「ほんとにっ!? 私、遼さんの作るかぼちゃのポタージュが好き」
「じゃあ急いで帰らないとな。梓、手伝ってよ」
「もちろんっ!」
最高の笑顔を向ける梓の肩を抱きホテルを出ると、正面玄関近くに車が用意してあった。
俺たちが泊まったスイートルームは専用のフロントがあり、帰りはそこで精算を済ませ車の手配をしておいた。
「さて、行きますか?」
「はい」
梓の手を取り、助手席のドアを開ける。
「どうぞ」
その手を引き助手席に招き入れると、ちょこんと膝を曲げ「ありがとう」と微笑む梓に、目と心を奪われた。
そして思い出したんだ。俺は梓のこの笑顔に惹かれ、救われたんだと……。
人は誰だって、苦しみや悲しみを持って生きている。
でもそれも、何かのきっかけさえあれば、少しづつ和らいでいくはず……。
俺はきっとそれが、梓、君だったんだと思う。
梓が俺を好きになってくれて、笑顔と幸せを与えてくれたから、これからは明るい未来を信じて生きていける。
───梓、ありがとう。これからもよろしく───
この言葉を梓に直接伝えるのは、また今度二人っきりで甘く過ごせる時にしよう。
梓が助手席に乗り込んだのを確認すると静かにドアを閉め、運転席に急ぐ。
梓の柔らかい手を握りその甲にキスを落とせば、温かい目を俺に向ける。
その瞳に一層愛しさを募らせながら、俺は車を走らせた。