ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~

やっと唇が離れた時、私の息は絶え絶え……。
その上、お父さんやお兄さんの呆れた溜め息が聞こえ、恥かしさから遼さんの顔を睨んでも、平然と笑っている。

「いいぞっ、遼」

誠さんがそう叫ぶと式場内から拍手が沸き起こり、遼さんと顔を見合わせてから深々と頭を下げた。


チャペルの鐘が鳴り響くと、儀式が終わりを告げた。


チャペルの外の階段下。緩やかなスロープに参列者が並び終えると、遼さんと腕を組み、バージンロードを歩く。
全開になっている扉の前に立てば、大勢の人の温かい拍手に包まれた。それが身体中に広がると、胸が感動でいっぱいになる。
もう一度二人揃って頭を下げると、ゆっくりと階段を降りた。
“おめでとう”の言葉と共に、色鮮やかな祝福の花びらが舞い上がると、そこはまるで夢の世界のようだった。

母の嬉しそうな顔に、涙でぐしゃぐしゃな父の顔。
感謝の気持を込めてとびっきりの笑顔を向けたが、やっぱり大粒の涙が零れてしまう。

「梓、綺麗よ」

子供の時のように母にぎゅっと抱きつくと、頭を撫でてくれる。
涙を拭い母を見ると心からのありがとうを贈り、そっと身体を離した。

遼さんのお父さんとお母さんは、遼さんの晴れ姿を見ることが出来て、満足気に微笑んでいる。
するとその後ろからヒョコっと顔を出した百合さんが、お兄さんを引っ張って私たちの前までやってきた。






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