ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~

「ほら暁さん、二人にお祝いの言葉、言うんでしょ?」

「あ、あぁ……。おめでとう」

不機嫌な顔で小さな声ながらも、まさかそんな言葉を言ってもらえると思っていなかった遼さんが、驚きで目を見開きお兄さんを見ていた。

「兄貴……」

呆然としながらもそう言うと、お兄さんが右手を差し出した。
一瞬戸惑いの顔を見せた遼さんだったが、方を下げ大きく息をつくと。その手をぎゅっと握った。

「まぁなんだ……。何か困ったことがあったら、いつでも連絡してこい。頑張れよ」

思いがけないお兄さんの言葉に、遼さんの顔がクシャっと歪む。

「あぁ……」

今まで二人の間にあった壁が、取り払われた瞬間だ。

良かったね、遼さん───

心の中でそう呟き、目に薄っすら涙を溜めている遼さんを見れば、照れくさそうに頭を掻いた。

「百合さん、ありがとうございます。百合さんのお陰で遼さんとお兄さん、また良い方向に一歩進みました」

「まぁね、私に掛かればこんなもんよ」

オホホっと高笑いする百合さんには、やっぱり到底勝てっこない。
私の心強い味方だ。

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