ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~

「遼、梓さん。おめでとう」

誠さん夫妻に近寄ると、陽子さんが私を抱きしめた。
そしてそっと、「遼くんをお願いね」私にしか聞こえない声で囁く。
「はい」私も陽子さんの耳元で囁き返すと、安心したように私から離れた。

遼さんをわが子同然のように見てきた誠さんと陽子さんにとっても、今日は忘れられない一日になることだろう。

「梓、幸せそうだね。おめでとう」

「枝里……」

「先越されちゃったなぁ~。今日の梓、すっごく綺麗だよ」

「真規子……」

これには涙腺が、一気に崩壊してしまった。
それも三人同時に……。
肩を寄せ合い、思いっきり泣いた。もちろん嬉し涙を。

枝里と真規子には遼さんのことで、いっぱいお世話になったからね。
二人がいなかったら、今頃私は……。
本当にありがとう。そして───

「これからも、よろしくね」


「遼っ!  遅れて悪かったな」

「修さんっ!!」

「梓ちゃん、おめでとう」

「ありがとうございます」

遼さんの命の恩人と言っても過言ではない修さん。
大きくて熊さんみたいな体の中に、愛情や思いやり、なさけなど、人間らしい感情を持った素敵な人だ。
これからも遼さんの良き理解者となって、助けてくれるだろう。


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