雨、ときどきセンセイ。

「何回も拒否してんのに、すげぇ“当たって砕けろ”精神」


次にセンセイの口から飛び出した言葉に、今度は赤面する。


「そうやって、バカにして……!」


私だって、本当はそんなに積極的な方じゃないんだから!
どちらかというと受け身で、自分の想いなんて二の次で……。

そんな私が笑われるくらいに強引だったのは、センセイだったからだよ。

今までの自分を変えてしまうくらいに、あの日のセンセイの印象は強烈で。
そして少しずつ見えた素顔にどうしようもないくらい惹かれて、執着した。


「おかげで前しか見れなくなった」


少し湿った私のストレートの髪先にセンセイは触れた。


「自分に似ているようで、自分にはない強さと素直さが、一番の理由かもな」


ねぇ、センセイ。

人って本当に“変わる”んだね。

だけど前にセンセイが言っていたような、諦めるような悲しい意味の変化じゃなくて。

諦めずに、その手を掴めるくらいに強く。


「昔のピアノの音じゃなくて、吉井の声を聞くのも悪くない」


それは、私だけじゃなくて、きっとセンセイも。


「……なんだよ。“理由”、お前が知りたかったんだろ? 黙ってないでなんか言えよ」


ずっと黙りこくる私に、センセイはさっき触れていた毛先から少し上を掴んで軽く引っ張る。


「……なんとなく。そんな吉井と居られたら、と思ったんだよ」


きっかけが『なんとなく』でもなんでもいい。
今ここに向かい合うセンセイが、私を見てくれてるのなら。


「……ハッキリ、要約して下さい。って言ってるじゃないですか」


国語が苦手とか、そういうので逃げないで。
拙い言葉でもいいから。

センセイの気持ち(答え)を、ありのままの言葉で。


「――好きだ」



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