菜の花の君へ
帰宅早々、和之にするどく睨まれた智香子は、そそくさと学校へ行く準備を始めた。
「とても優しい彼氏ができたもんだな。
何度も電話したけど、起こすのがかわいそうの一点張りだった。」
「私、早朝までに起こしてってお願いしてたのに、疲れて寝てたからって寝坊するほど寝かせておいてくれたの。
あんなボランティア活動とかしたことなかったから、気疲れしちゃったみたいで・・・。」
「あの京田ってやつと寝てたのか?」
「そんなわけないじゃない!京田さんはわざわざ自分の寝袋を私に譲ってくれて寝なさいって・・・。
きっと京田さんはほとんど寝てないと思うわ。
お話するのは苦手だって言ってたけど、優しくて思いやりのある人だとわかったわ。
かずくんに顔を見せてあげなさいって駅まで送ってくれたのよ。
私は講義もさぼっちゃおうと思ったのに・・・。」
「ほぉ~そんな真面目な彼氏ができたんだ。」
「彼氏だなんて・・・会ったばかりでそんなことないのもわかんないの!
学校の先生やってるのに子どもねぇーーーー!」
「智香ぁーーーー!心配してやったのに、そのいいぐさなんだよぉ!」
「過剰な心配はうっとおしいんだってば!早く出勤しなさいよ!」