菜の花の君へ
和之は時計を見て、口惜しそうな顔をしながら、あわてて出かけていった。



(くっ、あんな口今まできかなかったのに。
これからこんなことが続くんだろか・・・。男がかかわるたびにこんな言い合いになるなんて厄介だなぁ。)



智香子は和之が出かけて間もなく、大学へと出かけていった。


和之から彼氏だと言われて、智香子は意識してしまう。



(京田さんも大学に来るって言ってたわね。
でも、別れてその日に会いに行ったら嫌がられちゃうかな。
きっと私のせいで疲れてるだろうし。

約束どおり、講義を真面目に受けることにしよう。)



智香子がその日の講義をすべて受け終わって、いつもどおり、スーパーのアルバイトに行ってみると、思わず声をあげてしまう出来事が起こってしまった。



「きょ・・・京田さん。どうして・・・こんなとこで働いて・・・?」



「あ・・・ここでバイトしてたの?まいったなぁ。
じつはさ、弟が急に熱を出して交代もままならないって泣きつきに来たので僕が代わりにね。

口止めしちゃうけど、学校には内密でお願い!」




「くっ・・・ぷっ、あははは。
もちろんしゃべるつもりはありませんけどね。

それにしても、京田さんとは縁がありますね。」




「そうだね。会って2日でもう親密レベルさ。あははは。
もう、会えないような気がして文学部の方まで行こうかと思ったくらい。」



「だめですよ。そういう口説き文句みたいな発言は!」




「そ、そだねぇ。助手風情がそんなことしている場合じゃない。
だから、准教授くらいになれるまで女性とは付き合わない。
ごめん。」


「えっ・・・」
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