菜の花の君へ
あっけない幕切れだった。
京田に嫌われたわけではない。
顔を合わせたら、普通の友人以上の会話はきっとするだろう。
あまりにも現実的過ぎるというか、あたりまえのことだというか。
京田は真面目な男だったというだけなのだった。
収入面や対人面などなど、考えてくれた挙句に、自分で身も引いてくれるとは・・・。
うれしいようで、ショックなことは隠せない。
智香子はアルバイトを済ませると、京田の顔をあらためて見ることなく、帰宅していった。
「やっぱり、私には恋愛なんて不向きなんだわ。
学生には学問があれば十分よ。
だけど・・・こんなかんじの胸の痛みは、けっこう受けたはずなんだけど・・・出世待ちになってしまうお互いの気持ちってなんて不安定なのかしら。」
そんな傷心顔を和之が目にしたとき、ほら言わんことがない・・・とばかりに、責められるしかなかった。
「大人の別れ方か・・・それとも、あまりに純粋すぎるのか。
とにかくだ、大学生になったからって背伸びをしまくる必要はない。
智香はいつものとおり、勉学中心でがんばる時期なんだからな。」
「で、でもぉーーーー!!!」