君と、世界の果てで


「広すぎるな……」


深音に言われるまま、ペンギンのよちよち歩きを見たり、のろい海ガメを見たりした。


しかし、盛りだくさんすぎる。


『南の海』とか、『北の海』とか。


深海魚や、日本の魚。


アジやサンマを見て、美味しそうとつぶやく。


歩き疲れて、途中のフードコートで休憩していたら、深音の姿を見た子供に、指をさされた。



「ママ、お姫様がいるよ!!」



思わず笑ってしまった。


確かに今日の深音は、お姫様だ。


金髪に、白いヘッドドレス。


フリル盛りだくさんの白い丸襟シャツには、赤いチェックのリボン。


リボンと同じ柄のスカートは、中にパニエを仕込んで膨らませている。


靴は、いつもの黒い木底の靴。


上に羽織っていた白いコートは、歩き回るうちに暑くなって、家来の俺が持っていた。


深音がにこりと笑いかけると、その子供……小さな女の子が、興味津々という顔で近づいてきた。


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