君と、世界の果てで
「母ちゃん、何気にひでぇよ……
翼と陸って名付けたの、母ちゃんなんだ。
陸にいる俺は、空にいる兄貴に、絶対、届かない……!」
陸はとうとう泣いてしまったの。
あたしもつられて、泣いた。
今まで彼が作った、つらい恋の歌は。
全て、彼の想いだったんだって、気付いたから。
「陸……でも、鳥だって、疲れるんだよ?
翼を休める為に、陸に降り立つんだよ?
一生離ればなれなんかじゃ、ないんだよ……?」
「……めっちゃいい事言うね、深音……」
「……でしょ……?」
「俺……もう一回だけ、兄貴に言ってみる。
ベースを弾いて欲しいって」
「陸……」
「言うだけタダだよね?」
あたし達は一緒にわんわん泣いて、このベッドで手をつないで眠ったの。
男女なのに、何もしないで。