君と、世界の果てで


で、話は陸が亡くなった日に戻るけど。


あぁ、わかりにくいよね。


ごめんね。


陸は、泣いてたの。


あたしは、何とか話を聞いた。



「ねぇ、陸……」


「見ちゃった……」


「え?」


「スマホを兄貴の部屋に忘れて、取りに戻ったら……

紗江ちゃんとヤってた」


「……」


「紗江ちゃんと一瞬、目があっちゃった。

あいつの目、勝ち誇ったように笑ってた。


想像では大丈夫だったのに、現実はそうじゃなかった。

俺、無理だよ。

兄貴が誰かを抱いて、結婚して、子供つくるの、一生見せつけられるんだ……!」


「陸……!」


「昼間、兄貴が来てくれた。

深音の事、気に入ったみたいだった。

兄貴、面食いだから……」



陸の言うことは支離滅裂で、よくわからなかったけど。


悲しみに支配され、絶望に追いやられた事だけはわかったの。


陸は突然立ち上がって、一階に降りたから。


あたしも、その後を追った。

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