君と、世界の果てで
陸は一階に置いてあったギターケースの中から、小さなビニール袋を取り出して。
ライターを探してた。
「陸、何ソレ」
「クスリ。智の、分けてもらった。
飛べるんだって」
「……ダメだよ……!」
何のドラッグかはわからなかったけど。
あまりに不吉な白さの粉が、本当にヤバイものだって事は、わかった。
だから陸の手をつかんで、袋を奪おうとしたの。
「離せ!」
「いや!」
「飛びたいんだよ!」
「こんなもので飛んだって知ったら、お兄さんは離れるだけだよ!!」
陸が飛んでいきたかったのは、クスリによる快楽の世界じゃない。
翼さんの元だって、あたしにはわかった。
陸は動きを止めたと思ったら、突然ソファにあたしを突き飛ばして、のしかかってきた。
「何するの」
「黙れ」
陸は乱暴に、あたしのシャツを引き裂いた。