君と、世界の果てで
しかし、彼女の言葉を肯定する材料も、否定する証拠もなかった。
「ん?何だこれ」
楽譜が入っている棚に、見覚えのないノートを見つけた。
「陸の……か?」
表紙に汚い文字で「見るな!!」と書かれている。
楽譜に埋もれて、片付け忘れたのか。
陸が死んでから、もう半年が経つというのに。
「見るなってなぁ……」
見なきゃ捨てて良いもんか悪いもんかわからないだろ。
と思いながら。
怖くもあった。
深音にあんな事を聞いてしまったから。
決心して、表紙をめくった。
それは歌詞を書いたもの……らしかった。
見た事のある詞が途切れ途切れに書かれている。
アイディアを書き付ける、言わばネタ帳みたいなものかもしれない。
「……処分、だな……」
ノートの後半は真っ白で、何も書かれていなかった。