君と、世界の果てで
駄目だ。
地元にいるほど、感傷的になってしまう。
昔からのファンに、恥ずかしくないものを見せなくては。
集中、集中。
あっという間にライブ当日だ。
リハーサルを終えて。
開演時間が迫ると、他の地域では感じなかった程、重い緊張に包まれた。
「翼さん、もうすぐですよ」
「あぁ……そうだな」
控室で話しかけてきた崇文は、22歳。
深音と出会ったころの俺と、同じ年になった。
顔つきは少し大人になったが、明るい性格は変わらない。
「なぁ……崇文」
「はい?」
「あいつ……生きてんのかな」
「…………!」
バシ、と後ろから頭を叩かれた。
「何だよ、渚」
「集中しろ」
「……すいません……」
渚と俺は、誕生日が来て、26歳になった。
渚は東京で新しい彼女が出来た。
しかも、グラビアの女の子だ。
ちゃっかりしてるぜ。