君と、世界の果てで
俺は彼女を一階に誘い、コーヒーを入れた。
と言っても、インスタントしかなかったが。
年代もののソファに腰かけた深音は、遠くから見ると、やはり人形みたいだ。
こういう人形、家具とセットで売ってるぞ、たぶん。
「ありがとうございます」
コーヒーを渡すと、俺を大きな目で見上げた。
黒髪の上には、大きな白いリボンが乗っている。
「……じゃあ、早速だけど。
あの日、どうしてここに来たの?」
「陸に呼ばれたからです。
合鍵を持っていますから、いつでも来れるんですが、あの日は学校に行ってました。
帰りに、メールが来て……」
深音は、自分の携帯を差し出した。
受信メールの画面には。
『会いたい』
と、それだけ書かれていた。
「ここへ来たら、鍵が開いてたんです。
陸は、家にいる時もいつだって鍵をかけてたから、おかしいと思いました。
電気もついていませんでした」