幸せの選択
少し大きな課長の声に、思わずビクッと体を震わせてしまった。


「悪い。驚かせたな。でも、お前らしくないぞ?何かあったのか?」


私を気にする柔らかな口調と言葉に、真実を思わずポロッと吐き出してしまいそうになる。


何も言わない私に、一瞬傷ついたような顔をして、でも次の瞬間には柔らかく微笑んだ



「言いたくないなら無理には聞かない。俺は、邪魔だろうからもう、行くよ」



目の前から立ち去ろうとする課長に、何もいえず、せめてしっかりと見送ろうと立ち上がった瞬間、脇腹に感じる激痛にフラッとよろけてしまった。


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