禁断の果実
今井先生の呆れた溜息があたしに聞こえた。
和泉先生って意外と頑固なんだ・・・。
「んとに・・・しょーがねぇな、あいつは」
「大丈夫なんですか?」
「ああ見えて酒は結構強いから平気だよ。それより椎名、随分と遅くなったから早く乗れ、送るよ」
「は、はい」
そういえば、もう23時を回っていた。いくら保護者付きでも高校生がこんな時間まで出歩いてはいけない時間だった。
あたしは今井先生に言われた通り、車に乗ろうとすると、突然誰かに手首を掴まれ声にならない悲鳴を上げた。
「・・・・・・・・・・っ」
「・・・おい・・・・何やってんだよ、涼介」
先に歩いて帰ろうとしていたはずの、和泉先生があたしを掴んでいのだった。
「美咲も俺と一緒に帰るんだよ」
へ・・・・・?
あたしの頭の中が整理出来ないまま、和泉先生はあたしを強引にグイグイっと引っ張って歩いて行く。
今井先生の方に振り向くと、止めるのかと思いきや、ニヤニヤしながら手を振っていた。
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