オレンジジュース~俺と一人の生徒~
順番は守らなくてはいけない。
並んでる人を抜かしてはいけない。
俺のポリシーだけど・・・
今だけ・・・許してください!!
「ちょっとすまん!」
並んでる生徒を抜かし、愛しい人に少しずつ近付く俺。
寒いのに、体が熱くて、汗をかいていた。
俺、必死だった。
もうこんなチャンスはない。
教師と生徒として、リフトに乗れるのは、きっとこれが最初で最後だと思った。
「ちょっと誰よ!」
里田が追い抜かす俺にそう言ったが、俺だとわかると、すんなりと背を押してくれた。
いろいろあった生徒だったが、今は親友もできて、彼氏もできて、幸せそうで何よりだ。
「あ、どうも・・・」
俺は、次のリフトの番を待つ直の横に立って、頭を下げた。
俺だとわかった直は、俺の真似をして演技をした。
「あ、どうも。」
初めて会う者同士のように、直も頭を下げた。
リフトに乗った瞬間、直は笑い出す。
「誰かと思ったぁ。先生だったんだ!」
「こんにちは・・・新垣です。」
俺は、喜ぶ直に左手を差し出した。
直は、その手にそっと右手を乗せた。