オレンジジュース~俺と一人の生徒~



眠気と戦いながら、俺は直にテレパシーを送る。



どうやら、そのテレパシーは直じゃなく、

直の一番大好きな親友の中田に届いたらしい。




「先生!ちょっと!!何してるの?」


膝を抱えて、膝の上に頭を乗せた俺に声をかけたのは中田ゆかりだった。



「ん・・・おぉ!グッドタイミングじゃん!」


「もしかして、彼女を襲いに来たの?」


中田は、小声でそう言うと、ニヤっと笑った。

任せて任せてって言いながら、中田が部屋に戻る。



もうすっかり全員が眠っている様子の部屋の中から

直の声が聞こえた。



寝ぼけた直の声、かわいい!!


むにゃむにゃ言ってらぁ!!




中田に感謝しなきゃ。

こんな状況で俺の存在を見つけてくれたことは奇跡的だ。




「ん~・・・あれ?どしたの?せんせ・・・?」


体操用のジャージの上に、かわいいピンクのパーカーを羽織った直が

深夜の訪問に、不思議な顔をしていた。



「ん?あれ?先生、会いに来てくれたの?」



少し現実に戻った直が、座ったままの俺の髪に触れた。



「直に会いたくて・・・」



俺は、直を見上げた。


お腹の中のキティちゃんには、もうしばらくじっとしていてもらおう。



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