二手合わせ



でも、

これで良かったのかもしれない。


私は自嘲的な笑みを洩らす。


だけど、永倉さんが掴んだままの腕を引っ張り、歩き出したから焦った。


「え、ちょっ、あの」

「副長に報告するぞ」

「ちがっ」


私は足に力を入れて立ち止まる。

身長が違う永倉さんとの歩幅はやっぱり違う。

必然的に早足になるけど、いくら誰かが導いてくれてるからと言って、何も見えない状態で歩くのは怖い。


「わ、私なら待ってますから。この状態で逃げられやしませんから、だから」


踏ん張っている足が震える。

それに気づいてくれたのか、言葉で分かってくれたのか、永倉さんは腕を放してくれた。


しかし


「……え、やっ!な、何!?」

「暴れるな、落ちるぞ」


一瞬にして浮遊感。

そして、膝の裏と背中にまわされている永倉さんの手。

こ、こんな状況で姫抱きされても怖いってば!



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