二手合わせ
見えなくても
呆然としてるのが分かる。
…そりゃそうだ。
いきなり部下が捕虜(?)を連れてきて『コイツ、目が見えてない』だなんて。
すぐに理解できるものじゃないもの。
気分が落ち込んでいると、
目尻に何かが触れて、
「っ!?」
「いてっ」
「あ、ご、ごめ、なさ…」
反射的に叩き落としてしまった。
声で副長さんだと分かって、たぶん副長さんの手を叩いてしまったんだと理解した。
ど、どうしよう。
叩いたから…斬られたり、とか、しないよね。
冷や汗を流していると
「…いや、今のは俺が悪かったな。わりぃ、声をかけてから触れるべきだったな」
と、謝ってくれた。
…声に反省の色が滲んでいて、本心からの謝罪と分かった。
「い、いえ……驚いただけです」
「だが今の反応と、合わない焦点からして……医者にかかった方が良さそうだな。おい新八」
副長さんが 永倉さんに呼び掛けると、背後で永倉さんが「はい」と返事をした。
「山崎を呼んでこい」
「……だが、良いのか?コイツに山崎さんを見せて」
「『見せる』じゃねぇだろが。見えねぇんだし。山崎にゃ少しだけ医術の心得がある。医者ん所に付いてって、処置の仕方を聞かせた方が良いだろう」
副長さんが堅い声でそう言うも、永倉さんは何も言わなかった。