二手合わせ
私はコクリと頷いた。
治らない可能性を考えろと言われ、少し怖じ気づいた。
…怖い、けど
これからずっと、見えないかもしれないから。
視覚以外の感覚を研ぎ澄まさなきゃ。
私は恐怖を押し込めて、
歩くことに集中した。
だが
「……っ!」
「っと。危なかったなぁ」
「すみま、せん…」
足が縺れて転けそうになった私を、山崎さんが助けてくれた。
そして背中をポンポンと叩いた。
「倒れそうになるかもしれんけど、とにかく歩くこと、それが大切や。危なかったら助けたるから。一人で歩けるようにならな。……此処から出て、自由になりたいんやろ?」
「……は、い」
そうよ。
此処から出て、帰らなきゃ。
私の家に。
友達も先生も両親も弟も、皆、元の時代に居る。
帰らなきゃ。
私の居場所に。