たぶん恋、きっと愛
いつもの道を、駅前まで歩いてきた。
「あれ? なんか人数多い」
吹き出すように笑った鷹野の視線の先には、雅の他に、三人。
「どれが“先輩”?」
ほどほどに身長のある鷹野も、凱司の隣を歩くと、小さく見える。
「あー、雅と…揉めてる奴」
確かに、雅が何かを必死に訴えているように、見える。
対する男は、そっぽを向き、雅の言葉を聞いているようにすら見えない。
「あっ!雅来た!こないだのバンドの人来たよ!」
「マジだ!つーかでけぇ!」
聞こえてる聞こえてる、と鷹野は苦笑した。
無関心を装う通行人も、チラ、と視線を寄越して、ほんとだ、背高い、と凱司を二度見していく。
「鷹野…黙らせろ」
「はいはい」
横断歩道を挟んで、こちらを向いて騒ぐ彼らに、鷹野は。
唇に人差し指を当てて、微笑んだ。
「やーっ!何々!? しーってしてるよ!チョー美人~」
「加奈子“チョー”とか死語じゃね!?」
ますます色めき立った、横断歩道の向こう側に。
鷹野が弾かれたように、笑う。
「ありゃ駄目だ」
「酔ってんのか、あのガキどもは」