たぶん恋、きっと愛



「はじめまして!加奈子です!」

「はじめまして田鹿です!」


やたらテンションの高い二人の前で、鷹野はまだ笑い、凱司もまた、苦笑いをしていた。


「はい。はじめまして、鷹野です」



「…雅」

にこやかに挨拶を交わした鷹野と二人から、さらりと視線を外して。
先ほどから困りきった顔でこちらを見ている雅を呼んだ。


「…は、ぃ」


柳井はゆっくりと雅と凱司とを見つめ、凱司に真っ直ぐ向き直った。


「……こんにちは」

「……あぁ」


それきり黙り込んだ柳井と凱司に、鷹野も、加奈子も田鹿も。

気掛かりそうに視線を向けた。



「……こんだけ未成年がいたら居酒屋は無理だな」

凱司は、ぐるりと見回すと、小さく息をついた。


「…あ、の!」

突然吐き出すように叫んだ柳井に、凱司が目を合わせる。


「…なんだ」

「み…雅とは、付き合わないんですか?」


びくりと体を震わせた雅が、最早泣き出しそうな顔で、柳井に食って掛かる。


「だから……っ!あたしが勝手に…!…好きとかじゃ…ないって言ってるじゃないですか!」

「雅があなたを好きなの知ってて、はっきりさせないまま遊んでるんですか!?」


「先輩! やめてください!違う……違うから!」


「とりあえず場所変えよ、みんな見てる」

凱、雅ちゃんに食わせたいパスタあるんだけど。


立ち尽くした雅の体を片腕で抱き寄せ、鷹野は。
田鹿と加奈子に、お腹すいたろ?と、微笑んだ。



 
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