たぶん恋、きっと愛



最初に凱司を見つけた日、行こうとしていたライブハウス。

友達、と言うよりは、同級生とその先輩、といった付き合いの彼らは、唯一あの日たどり着かなかった雅を連れて、再度同じライブハウスに来ていた。



「…やっぱり出口間違えてた」

「なんですぐ気が付かない」


「…気が付かなかったから間違えたんだもん…」



手にしたジャスミン茶のペットボトルは半ば凍っている。

飲料用というよりは冷却用に持ち歩いていたそれは、だいぶ溶けて水滴がポタポタと落ちていた。


「須藤須藤、そこ座っといて。俺ら準備してくるし。」


ライブハウスの入り口を指差され、雅は頷いた。


少し待てば同じ学校の知った顔も来るだろう。

雅は、今日はちゃんと観るからね、と手を振った。



 
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