たぶん恋、きっと愛


「…なんで…なんで…俺は駄目でこいつなら……!!」


柳井の声が、耳に刺さる。

まだ喋れるか、とばかりに身を起こした友典を、雅は全身で押さえようと、ますますしがみつく。



「柳井!お前も須藤雅に何したんだ!!」


目の上を切り、鼻からも唇からも血を溢れさせる柳井を、英語教師が押さえ込む。


出血のない友典と、顔を腫れ上がらせ血だらけの柳井。

一見、友典の一方的な暴力に見えないこともない。


だが、友典のすぐ後に図書室に飛び込んだ英語教師は、目の前の光景を廊下の生徒に見せてはいけないと、咄嗟にドアを閉めてから。


友典が柳井の髪を引き掴んで、いきなり一発目で血を吹かせるまでの、ほんの僅かの間。


机に押さえ込まれて泣きじゃくる、須藤雅を、見ていた。


ごめんなさい、と小さく叫ぶ、須藤雅を。



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