たぶん恋、きっと愛


激しい息遣いは、なかなか収まらず、涙も止まらなかった。


何か、病気なんだろうか。

息をし過ぎたとは、どういう意味だろう。


確かに倒れ込む前に、大きく息をしてはいた。

ふらり、とバランスを崩すような歩き方を、二三歩したのは確かだ。



紙袋なんかで治るものなのか?

救急車を呼ばずとも大丈夫なのか?


こんなに力があったのか、と思うほどに、友典の右手は掴まれている。

そういえば、喉の鳴るような呼吸ではなくなった気がした。


担任の、ぐすぐす泣く声に被せるように、何がどうなってああなったの?と、保健医の気丈な声と、英語教師が見たままを答えるのを、友典は不安な思いで聞いていた。



疾患があるとは聞いていない。

父も、凱司も言わなかったはずだ。



ただ、難しい娘だと。
手のかかるガキだと。



目の前で、僅かに身動ぎ、薄く目を開けた雅が、友典の手をふと離すと。

首筋のネックレスをなぞり、掴んだ。
 


< 590 / 843 >

この作品をシェア

pagetop