たぶん恋、きっと愛
まだ、呼吸は荒い。
だが、良い方に向かっているように、やっと見えた。
「…雅さん、息を、ゆっくり」
ネックレスを掴む指を、上から握った。
「須藤さんに食べさせて」
友典の横から、白い小さな塊が突き出される。
「…これ、何」
「ただのブドウ糖の塊よ。口の中で溶かせば、良くなるから」
わかった、と素直に小さな塊を受け取った友典は、苦笑した保健医に、同じ白い塊を口に突っ込まれた。
「宇田川くんも食べときなさい。須藤さんは大丈夫だから」
友典は嫌そうな顔をしつつも、溶けて舌下から染み込むような甘さに。
首筋に血が通ったような気がして息を、ついた。
口を開けて息をする雅の表情が、少しだけ和らいだ気がする。
「雅さん、入れますよ」
紙袋を少し浮かせて、まだ白く血の気の引いた唇から、少し奥に押し込んだ。
「…ん」
小さく声を出した雅が、友典の人差し指ごと唇を閉じる。
人が飴のようなものを舐めるときの舌の動きを、じかに指先に感じ、慌てて抜き取れば、雅はぼんやりと、目を開けた。
それどころじゃない、と解っていながら、人差し指の感じた感触に、どきりとする。
「…ごめ…なさぃ」
再び苦しそうに眉を寄せるも、徐々に呼吸は落ち着いて来ていて、友典は多少安心したように、その乱れた髪を頬から退けてやった。
一体、これは何なんだ。
雅がこうなることを、父や凱司は知っているのか?
原因は?
治療方は?
考えても、今は意味がない。
ただ、ひたすらに、雅の髪を撫で続けた。