たぶん恋、きっと愛
「さて。宇田川くんはこっち。柳井くんはこっち。斎藤先生はここどうぞ」
保健医は、友典と柳井を離して座らせ、英語教師を真ん中に座らせた。
「先生は三人のご自宅に連絡お願いしますね。……泣いてないで…お願いしますよ?」
まだ小さく横たわる雅を、ちらりと見やり、鼻を啜りながら出ていく雅の担任がドアを閉めて初めて、保健医はため息をついた。
「宇田川くん、左手」
「……痛まない」
「嘘つかないの。そんなに腫らして」
「………」
伏し目がちに、渋々左手を出した友典に、手早く湿布を貼り、ちゃんと病院行きなさいね、と笑った保健医も、気掛かりそうに、雅を見やった。
「柳井くん、今後、須藤さんには近づかない事」
どれだけ怖がらせたのか、見たら解るわね?
女の子を力でどうにかしようなんて、二度と馬鹿な事はしないでちょうだい。
保健医は、眉間に皺を寄せると、小さなビニールを柳井に渡した。
「とりあえず、掛かり付けの歯医者に今すぐ行きなさい。口の中に歯の欠片が残ってて良かったわね」
黙って頷いた柳井は、ひどく消沈した目で雅を見つめると、促されるままに、保健室を出ていった。