たぶん恋、きっと愛
「……友典さんは…………」
僅かに怯んだ様子を見せた雅も、必死に友典の目を見つめ続ける。
周りは、ただならぬ気配に、訳も分からずに遠巻きに様子を窺い、廊下が通行止めになったかのように、2人の横を通る生徒はいなくなった。
「凱司さんが…あたしを好きだと……あたしみたいな子供を…好きだとでも……本気で思ってるんですか?」
いつの間にか血の気を失った雅の唇が、かすかに震える。
泣くまいと力を入れているのだろう、不自然に眉が寄せられ、睫毛が小刻みに揺れた。
「どうして……あたしが…好きになったりしたら…迷惑かけるって…わからないんですか!」
好きだけど!
だけど!
あたしが想っちゃったら!
「…あたしを拾ったこと……後悔されたく…ないの」
耐え切れない、とばかりに、友典の脇をすり抜けて、教室とは逆側に走り去る雅を。
追わなければ、と友典が思った時にはもう。
雅の姿は、見つからなかった。