たぶん恋、きっと愛


「今朝、鷹野さんが熱出しちゃったので、今日のバイト終わったら、ひとりで帰ります」


毎日の、予定報告は、変わり映えが無くとも欠かさない。

雅は、自分の少し後ろを歩く友典を小さく振り返ると、ちょこりと首を傾げて、その目を覗き込んだ。



「来てくれなくて、大丈夫ですから」


帰りに買い物すると思うけど、それ以外に寄り道しません。


「………………」

「…気をつけて帰りますから」


友典の、僅かに寄せられた眉に、雅は困ったように笑う。


秋から始めたアルバイト。

鷹野の職場の、道を挟んだ向かい側。

年配のマスター手作りのスイーツと。

コーヒー、紅茶でくつろぐ、アンティークオルゴールの音の流れる、カフェ。



学校が終わり、店に行く。

少しの時間を接客に。
残りの時間を、翌日の仕込みに費やす。


ラムレーズンを漬け込んだり、生地を練って寝かせたり。

焼きあがったパウンドケーキをブランデーと馴染ませたり。



鷹野の仕事が、終わるまで。




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