たぶん恋、きっと愛
それきり雅は前を向き、学校に着くまで振り返らないまま、歩く。
後ろに付いている友典の自宅が、よほど学校に近い場にあるのに、わざわざ駅にまで迎えに来ることに対して申し訳ない、と俯く事もなくなった。
「来週…まで…会えないんですって。大丈夫かな…」
同じ家にいるのに。
来週遊ぼうね、って。
雅はそれでも、少し先の信号が点滅し始めたことに、歩を緩めた。
急に走り出したら、友典が慌てるかも知れない。
会話が成り立たない分、気を使う場所が、変わったように思えた。
「インフルエンザじゃなければ…看病してもいいって凱司さん言うかも」
独り言のようで、雅は友典に聞こえるように言っている。
「みんな、ちゃんと手洗いうがい、しないとね」
友典さんも、あたしも。
冷たい、乾いた風が。
雅の、到底通学には向かない真っ赤なダッフルコートのフードを、巻き上げた。
通勤通学の雑踏の中で、友典が自分を見失わないように、選んだ、色。
鷹野が選んできた、品。