たぶん恋、きっと愛


「…あたし、帰る」


すすん、と鼻をすすった雅が、顔を上げて振り返った。

帰ります、ともう一度、友典に念を押すようにハッキリと発音すると、振り返ったままに、元来た道を足早に戻り始めた。



「友典さんは、登校してください」


友典は、黙ったままではあるが、すたすたと歩き去ろうとする雅を、困ったように追いかける。

手を伸ばして引き止めて良いものか、つと、右腕を上げた。



不意に。

どこからか誰かに見られているような気がして、友典は立ち止まり、上げた右手の指を握る。



「…………」


目の前から、どんどん離れていってしまう雅を仕方なく再び追いながら、視線にも似た気配に気を取られた。



どこだ。

誰かが、どこかで自分たちを見ている?


人はたくさんいる。
建物もたくさんある。

気のせい、だろうか?



雅はためらいなく戻って行くし、自分には、それを止めることは出来ない。


友典は、背中にはっきりと視線を感じながらも、雅の行く道を急ぎ足でついていくしか、出来なかった。
 



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