たぶん恋、きっと愛


鷹野の部屋には、行ってはいけない。
インフルエンザが治るまでは。



「だけど…」


熱で、寒かったりしないだろうか?

熱が引いたら食べられるはずの食事は、どう用意すれば?

食べられそうだ、と部屋から電話でも掛かるんだろうか?




「……熱」

は、そもそも引いただろうか。

薬を飲ませたという時間帯から、おおよそ二時間だ。


まだ、かも知れない。



雅は再び冷蔵庫をあけ、グラスに氷を5つ入れた。

プリンと、ヨーグルト。
クレープに包まれた、いちごのクリーム。

スポーツドリンクと、お茶。



全てをトレイに乗せるも、雅は立ち尽くしたまま、時計を見上げた。


短い方の針を2つくらい戻したい、と、ふと思った。

ずっとじゃないかも知れないけれど、今は。

鷹野に会ってはいけない気が、する。



雅は、持ち上げかけたトレイを置くと、ゆっくりと冷蔵庫に、戻し始めた。
 



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