たぶん恋、きっと愛
友典にも言ったように、夕方から、バイトがあった。
鷹野の職場の、向かいのカフェ。
鷹野が何故、ここでアルバイトをする事に大反対したのか、今となっては、解らなくもない。
今も、向かいの店の従業員と、綺麗な女性とが、睦まじく紅茶を飲んでいる。
「そうですか、インフルエンザに」
マスターは、雅の髪にクリスマスツリー色の布を被せた。
「それは心配ですねぇ…」
ふちに細かく襞を寄せ、等間隔に金色のビーズが縫い付けられた、綺麗な三角巾。
「ところで……」
マスターの、整えられた口髭が、面白そうに笑みを刻む。
指を差すでもなく、ちらりと視線で示された方は、ドアの外。
「…す、すみません」
「須藤さんが上がるまで、ああやっている気でしょうか…」
苦笑してくれている事が、せめてもの救いだと、雅は。
ドアの外、歩道の端で、こちらに背を向けたまま本を読む友典に、ため息をついた。