たぶん恋、きっと愛
「…友典さん、あの…とても目立つんですが…」
「…………」
柄に花の彫刻のある、黒い箒を持ち、視線をアスファルトの歩道に向けたまま、雅は小さく囁いた。
「…大丈夫、ですから。帰ってください」
友典は。
一瞬、困ったような顔で雅を見つめ、店内から見えないような場所に移動した。
「あの…友典さん?」
そうじゃない、と雅は言い掛けるが、友典は、ぎゅっと眉を寄せたまま、首を横に振った。
友典には。
何となくざわめくような、空気の振動があるような気がしていた。
今朝、登校途中で帰宅を決めた雅を追うときに、どこからか感じた視線。
それは雅を家の中に送り届け、自分が学校に戻るまで時折、感じられた。
確証はない。
ないが、このまま雅をひとりで歩かせるのは少し、不安な気がしていた。