たぶん恋、きっと愛


凱司の様子は、さしたる変化がない。

いつものように、帰宅した雅を待っていたかのように、コーヒーを2つ、淹れた。


友典さんが送ってくれました、と報告すれば、そうか、と。
かすかに笑む。

それから、鷹野には薬を飲ませた、と、凱司の報告。


食事を取れたか訊いた雅に、ゼリー飲ませた、と端的に答えた凱司も、もしかしたら少しは気にしていたのかも知れない。


努めて「何も変わっていない」事を強調したかったのかも知れない。



…変わらない、わけ、ない。


冷蔵庫の中のプリンを差し出せないとか。

眠れないほどに気になるのに、ノックひとつ出来ないとか。


凱司と2人で取る食事に、やたら緊張して、目も見れなくなった、とか。




だから。





「眠れないの?」



不意に声をかけられて雅は、ドアから顔だけ覗かせた鷹野の声に、飛び上がるほどに驚いた。
 



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