たぶん恋、きっと愛
「たっ…鷹野さ…」
インフルエンザが伝染るとか。
そんな事は、脳裏を掠めもしなかった。
まさか、こんな時間に鷹野と鉢合わせるなどとは、思っていなかった雅は、何を言っていいのか判らずに、おろおろと視線を逸らせた。
「ごめんね、傍、寄って伝染ったら嫌だからさ」
小さな声で言う鷹野も、ドアから入って来ようとはしなかった。
「あっ…の………熱っ…は」
しどもどと、近付こうとしては立ち止まり、手を上げては下げる雅を、鷹野は面白そうに見つめて。
暑くなってきたから、きっと下がり始めてる、と。
でもそれ以上来ないで、と。
手を上げた。
「良かっ……た」
「心配かけて、ごめんね?」
距離が、ある。
実際に立っている距離も。
凱司に大きく委ねたばかりな雅の、妙にざわめく心と理性の、距離も。