たぶん恋、きっと愛
ドアの閉まった、小さな部屋。
当然のように体を起こそうとする雅を、息吹の腕は離さない。
「…まだ何か…あります?」
「あんた、逃げ出す…道を塞いで、どうしようってん…だ?」
淡々と。
唇の触れる、距離で。
「……鷹野さんなら、こんな事で傷ついたり、しませんよ?」
そうだといい、と。
そう思う。
そうに違いないとも、そんな訳ない、とも、思う。
「あたし…鷹野さんに棄てられたもん」
何束も切り取られた髪は、掻き上げても掻き上げても、頬にかかった。
この人は、鷹野さんを傷付けたいだけなんだ、と。
雅の中で、奇妙な可笑しさが湧き上がった。
「…あなたは、鷹野さんの捨てたものを拾っただけ」
くすくすと。
自分でも嫌になるほどの自嘲が、笑いとなってこぼれた。
疑い深く自分を見つめる、濃い睫毛に縁取られたその目が。
何があっても好きだよ、と。
すがるように自分を抱きしめた、鷹野を強烈に思い出させて。
苦しく、なった。