たぶん恋、きっと愛
助手席側に、真っ直ぐに立った鷹野の顔は、見えなかった。
互いに、指をドアにかけたまま、開けて良いものかどうか、息の止まりそうな緊張の中。
窓から見える、鷹野のコートのボタンだけを、見つめた。
何日も無視されていたけれど、そこに居るという事は、何か話をするつもり、かも知れない。
どうしよう。
と、雅は固まったまま、自分の手が震えていることに、自嘲した。
もう、無くすものも、なかったっけ、と。
ドアを開けて、笑えればいい。
彼が、苦しまないように。
雅が指先に力を入れようと息を吸った、瞬間に。
外から開いたドアの外。
「…………」
掠れたような、切れた息で。
鷹野がその場に、片膝をついた。
不意に下から見上げられた事に、雅はただ目を揺らし、数日ぶりに合う視線に、ぎゅ、と手を握りしめた。