たぶん恋、きっと愛



「…どこ…行ってた…って?」

「…………」



ああ、聞いちゃったんだ。

雅は、小さく首を傾けると、作り損ねた笑顔で、小さく。


どこにも行ってないですよ、と囁いた。


鷹野は、ぴくりと眉を寄せ、だけど、と重ねる。

その後の言葉が出ないのか、わずかに震える唇を開いたまま、指を伸ばした。


雅の、髪に。




「…鷹野さんが、いなかっただけです」


ふいっとその指を避けるように顔を背けた雅が、鷹野の視線に耐えられなかったかのように、呟いた。



「…雅ちゃんだって…いなかったじゃないか」

いなくなっちゃったじゃないか、と。

責めるでもなく非難する鷹野に、雅は小さく、だって、と呟いた。




「だって…だって…好きだと…思っちゃったんです…」


「……凱、を?」



雅は唇を震わせて、首を傾げるような、微かな動きを見せた。



「……ああしないと…みんな……あたしも、鷹野さんも…つらいと…思ったんです」


だから。
だから、1度、だけ。
 


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